就業規則の「退職の申し出は3か月前まで」は違法?どうすれば良い?

こんにちは!

 

就業規則が作成されている会社を退職する場合、就業規則の退職に関する条項を確認することは、円満に会社を退職するために必須の作業と言えます。

 

そこで、今回は、就業規則に「退職の申し出は3か月前まで」という規定がある会社を退職するケースについて書いていきます。

 

「退職の申し出は3か月前まで」は違法

 

「退職の申し出は1か月前まで」という就業規則の規定を無効として、2週間前に申し出た退職を有効とした裁判判例があります。

 

従って、会社が「退職の申し出は3か月前まで」という就業規則の規定を置く場合、当該規定は違法(無効)の可能性が高く、無視して構わないことになります。

 

ただ、普通は、法律の規定を杓子定規に適用して、退職の2週間前までに申し出るのではなく、一般常識的に、引き継ぎなどのことも考えて、退職の申し出を1か月程度前に行うのが妥当な線と言えます。

 

例外的に、「退職の申し出は3か月前まで」の就業規則の規定が合法化されるのは、報酬計算期間が6か月間の労働契約で働く場合です。普通の会社の報酬計算期間は1カ月なので、役員などでもない限り、報酬計算期間が6カ月となることはありません。

 

この結果、「退職の申し出は3か月前まで」の就業規則が合法となるケースは皆無に等しく、結局、この規定は無視しても構わないことになります。

 

退職の申し入れ時期に関する民法の規定

 

有期契約で働く場合、特別の事情がない限り、契約の満期までは働かなくてはなりませんから、「退職の申し出は3か月前まで」といった就業規則の規定は基本的には適用されません。

 

当該規定が適用されるのは、原則として、期間の定めのない契約で働く正社員となります。

 

民法では、正社員の場合、2週間前までに退職の申し入れを行えばよいことになっています。補足的に、報酬計算期間がある場合には、当期の前半に退職を申し入れれば、翌期に退職できるという規定もあります。

 

たいていの会社の報酬計算期間(1日から月末まで)は1カ月ですから、この規定を当てはめた場合でも、月の前半(1日から15日まで)に申し込めば、翌月1日には退職できます。

 

このケースでも、月の15日に退職を申し込んだ場合には、翌月1日に退職できますので、おおよそ申し入れから2週間後には退職できることになります。

 

これが民法の基本的な考えですから、「退職の申し出は3か月前まで」という就業規則の規定は、過剰に労働者の権利を制限する違法な規定ということになります。