【事例紹介】パワハラの具体例と裁判所の判例について【知識】

2020年4月15日

 

今回は、パワーハラスメントの具体的な事例について書いていきます。

 

パワハラには厚生労働省の定義によると

①身体的攻撃 ②精神的攻撃 ③人間関係からの切り離し

④過大な要求 ⑤過少な要求 ⑥個の侵害

の6類型が規定されています。

 

このままだと抽象的で分かりにくいですが、

具体的な事例を見ることで、パワハラの具体的なイメージがつかめます。

それぞれ事例を記載していきます。

 

人間関係からの切り離しの事例

 

ある高校では、女性教諭に対して学科の授業・クラス担任やその他公務分掌の一切を外し、

この教諭は学校に出勤しても、一日中机に座って過ごさなければならない状況となりました。

 

その後、この高校では一般の職員室とは別室の第三職員室を設け、

この女性教諭のみそこに勤務するように命じ、

他の教職員から隔離するようになりました(この期間は4年6カ月です)。

さらには、この女性教諭に対して自宅待機命令を出し学校に出勤することを禁止しました。

 

これに対して、被害者の女性教諭は裁判所に対して1,000万円の慰謝料を請求する訴えを起こしました。

裁判所は、女性の主張を認め、学校側に600万円を支払うことを命じました。

 

精神的な暴力の事例①

 

コンビニエンスストアの店長が、

店長の引き留の依頼を無視して、勤務時間終了(午前9時)と同時に退社しようとする店員に対して、

「お前ふざけんなよ、この野郎。うんじゃねんだよお前。カメラが写っていようが関係ねーんだよ、こっちはよー。ばばあ。てめえ、この野郎、何考えているんだよ」「店に来るなよ、来るなよ。やめろよ」

「どうするの、じゃ今日は来るなよ。二度と来るなよ。二度とな」(店員は同じ日の午後5時に再度勤務予定)

等という暴言を吐きました。

 

これに対して被害者の店員がパワーハラスメントを受けたとして

慰謝料を請求する訴えを裁判所に起こしました。

裁判所では店長に5万円の慰謝料の支払いを命じる判決を出しました。

 

精神的な暴力の事例②

 

A社のサービスセンターで勤務するXに対して、

Xに対してその上司であるYがX及びその同僚に対して以下のようなメールを送りました。

 

「意欲がない、やる気がないなら、会社を辞めるべきだと思います。

当サービスセンターにとっても、会社にとっても、損失そのものです」

 

「あなたの給料で業務職が何人雇えると思いますか。

あなたの仕事なら業務職でも数倍の実績を上げますよ。

これ以上当サービスセンターに迷惑をかけないで下さい」

 

このメールは、人の気持ちを逆なでし、侮辱的な言辞ととられてもやむを得ず、

Xの名誉感情をいたずらに毀損し、その表現においても許容範囲を超えると判断されました。

裁判所は、会社に対して、Xに5万円の慰謝料を支払うことを命じました。

 

 

まとめ

 

実際に色々なパワハラが行われていて、毎月なんらかの問題がニュースなどになっています。

パワハラに悩んでいる方は、弁護士や労働局に相談してみるのも一つです。

実際に裁判をするかどうかは別として、話を聞いてもらうだけで気持ちは変わります。