訴えることが本当に正解なのか?パワハラを受けた場合の対処方法

2020年4月15日

 

今回は、パワハラで被害を受けて加害者や会社を訴えるケースについて書いていきます。

 

裁判を起こすには膨大な労力を必要とします。

そのため、裁判を起こすケースは

「パワハラ被害で被害者が自殺をした」「精神疾患を患った」「大けがをした」

という場合がほとんどです。

 

パワハラ被害で

「一時的に落ち込んだがしばらくしたら回復した」

というような場合には裁判までには至らないことがほとんどです。

 

パワハラで訴えるための要件

 

パワハラで会社を訴えるためには、それによって重大な被害を受けたことが必要です。

 

パワハラに関する裁判で多いのは、

「職場のパワハラによって被害者が自殺した。」

「精神疾患を患った」「大けがをした」

などという場合です。

 

被害者が職場のパワハラで被害を受けたとしても、

「一時的に気分を害しただけで、しばらく休養すると回復し病院に行くまでには至らなかった」

などという場合には訴えることはほとんどありません。

 

そういった軽微な被害で裁判を起こした場合、仮に勝ったとしても、

非常に少ない金額の賠償金しか認められないことがほとんどです。

会社の非を認めさせるという点では全く無意味ではありませんが、

費用対効果の観点からするとほとんどメリットがありません。

 

やはり訴えるためには、重大な被害が発生していることが必要です。

 

訴える前には弁護士に相談する

 

職場のパワハラで重大な被害を受け裁判を検討する場合には、まず弁護士事務所に相談します。

 

裁判に関する手続きは非常に複雑なので、

訴えを起こす本人が自分でその手続きを行うことは滅多にありません。

たいていは、専門家である弁護士にその手続きを代理して行ってもらいます。

 

弁護士に事務所に相談すると、弁護士の方で裁判の判例に照らして、

裁判に出た場合に勝つか負けるかの見込みを示してくると思います。

その段階で、負けそうだという見解が出た場合には、訴えることを止めるという場合もあります。

 

勝ち負けに関わらず

「とにかく会社の非を認めさせたい!」

という人は訴えるという場合もあるでしょう。

いずれにしても、裁判実務に精通した弁護士に訴える前に一度相談することは非常に有意義です。

 

会社側が用意した弁護士に相談しても、

その弁護士は会社から報酬を受け取っているので、会社に良くなるようにしか動きません。

ご自身で弁護士は探しましょう。

 

 

裁判以外にも方法がある

 

パワハラ被害でどうしても会社や加害者を許せないという場合には、

裁判を起こすという方法もあります。

裁判を起こすというのは非常に大きなエネルギーを必要とするので、

他の方法がない場合の最終手段として考える方が妥当です。

 

パワハラ被害について裁判を起こす前に、

弁護士に頼んで会社と示談交渉を行ってもらうという方法もあります。

 

示談交渉で会社が非を認めて謝罪と賠償金を支払うことで話がまとまれば、

被害者の気持ちは収まるし、裁判を起こす手間が省けます。

 

このほか労働審判という方法があります。

 

労働審判は、事業主と個々の労働者との間の労働関係に関するトラブルを、

その実情に即して、迅速、適正、かつ実効的に解決することを目的とする制度です。

労働審判の特徴は、原則3日以内の期日で審判で結論が出ることです。

 

通常の裁判と同様に裁判官(労働審判官)が判断を行いますが、

通常の裁判と比較して短期間で審判(通常の裁判の判決に相当)が出るので、

裁判より利用しやすくなっています。

 

ただし、労働審判で出た結論には強制力がありませんので、

当事者がその結論に納得できない場合には通常の裁判手続きに移行します。