【知らなきゃ損】退職前に有給消化を拒否されてもそれは違法です!

2020年4月15日

 

無期労働契約の場合には、通常退職届の提出から2週間を経過すると退職が成立します。

今回は、その2週間「有給休暇を請求した場合にその請求を会社が拒否できるかどうか」について書いていきます。

 

結論を先に書くと会社はこの請求を拒否できません。

会社が有給休暇の請求を拒否して最後の給料の一部カットを行った場合には、

労働基準監督署に相談すればカットされた給料分を取り戻すことができます。

 

会社は有給休暇の申し出を拒否できない

 

労働者の方から有給休暇の申請があった場合、一般的には、会社は時季変更権を有していて、

労働者の方から指定された日に有給休暇を与えることが会社の業務執行上好ましくない場合には、

別の日に振り替えることができます。

 

しかし、退職予定者の場合には退職後に有給休暇の振替日を指定できません。

そのため、会社は時季変更権を行使できないとされています。

 

退職届の提出から退職成立までの期間を指定した有給休暇の請求があった場合、

会社はそれを認めざるを得ないというのが法律上の解釈です。

 

退職予定日の1か月以上前に退職の申込をしたような場合には、

退職の申し入れから退職までの期間が結構ありますから、

会社が時季変更権を行使する可能性があります。

 

しかし、無期契約で退職届の提出から2週間で退職が成立する場合に、

その2週間に10日以上の有給休暇申請があった場合には、

明らかに時季変更権の行使は不可能です。

請求のあった期間について自動的に有給休暇が成立します。

 

有給休暇の拒否は労基法違反

 

実務上は無期契約の場合で、

退職届の提出から退職成立までの2週間の期間について有給休暇の請求があった場合には、

会社と労働者の話し合いによってどの日に有休を割り当てるかを決定します。

 

このケースでは、法律上は会社は時季変更権を行使できないので、

労働者の方が会社に出勤要請を拒否して有給休暇を請求した場合には、

会社はそれを認めざるを得ません。

 

退職する労働者の方が有給の取得を請求しているのに、

会社がそれを拒否することは労働基準法違反となります。

 

ただし、「お世話になった会社だから」ということで、

退職する方が任意の協力で会社の出勤要請がある日について有給休暇の請求を取りやめて勤務することは可能です。

 

しかし、退職される方が何が何でも有給休暇を取得するとしている場合には、

会社はそれを拒否することはできません。

 

有給消化拒否による賃金カットへの対応

 

退職予定者の有給休暇の申請で、会社が時季変更権を行使することができないません。

退職者が指定した日に有給休暇を与える以外に方法がないにもかかわらず、

会社が有給休暇の申請を拒否することは労働基準法違反です。

従って、会社の承認がなくても、請求した日に休んで構わないでしょう。

 

退職届の提出から退職成立までの期間について、

会社の出勤要請を無視して有休を取得した場合には、

無断欠勤扱いとなって賃金がカットされるケースがあります。

 

しかし、時季変更権の行使ができない退職者の有休休暇申請の拒否は労働基準法違反です。

 

客観的な資料を揃えて労働基準監督署に相談すれば、

会社に対して違法な賃金カット分の支払い命じる行政指導をしてもらい、

それによってカットされた賃金を取り戻せることがあります。

もし揉めそうな雰囲気であれば事前に労働基準監督署や弁護士さんに相談しておくのも一つです。